慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2002年度
氏名 植原 啓介 (UEHARA, Keisuke)
論文題目 移動体インタ−ネットと自動車社会の協調システムア−キテクチャに関する研究
論文要旨

本研究では、移動体インターネットと自動車の協調システムの概念を定義し、こ れを実現するためのシステムアーキテクチャであるインターネット自動車システ ムアーキテクチャを提案した。また、提案したインターネット自動車システムアー キテクチャを応用した4つの実証実験を通して、インターネット自動車システム アーキテクチャの実現可能性、可用性、社会的受容性を検証した。

移動体インターネットと自動車の協調システム(インターネット自動車社会シス テム)は、移動体インターネット技術と高度道路交通社会の融合により、その双 方の開発が加速するばかりではなく、そこから人間の生活を支援するための新し いサービスが創造されるような社会システムを表している。本研究ではこのよう な社会システムを支える技術基盤としてインターネット自動車システムアーキテ クチャを提案した。提案したアーキテクチャは通信アーキテクチャとデータアー キテクチャの2つから構成されている。通信アーキテクチャでは自動車をインター

ネットに接続する時のモデルを提案している。その特徴により、Single computer model、Single router model、Multiple router model の3つが定義さ れており、本モデルのいずれかに基づいてシステム設計をおこなうことにより、 インターネットアプリケーションとの親和性を保証している。一方、データアー キテクチャでは、自動車が持つ情報(車両位置や車速、外気温など)を利用したア プリケーションの構築を容易にするため、車両データ辞書モデルを提案している。 車両データ辞書モデルは自動車をデジタル情報で抽象化し、アプリケーションか らの利用を簡単にするための枠組である。

本研究では、提案した通信アーキテクチャおよびデータアーキテクチャの実現可 能性、可用性、社会的受容性を検証するため、4つの実証実験をおこなった。1つ めの実証実験であるNECM(Network Environment for Continuous Mobility)プロ ジェクトでは、通信アーキテクチャの中で定義されているSingle computer modelの実現可能性を幾つかのアプリケーションと供に検証した。2つめの実証実 験であるInternetCARプロジェクトでは、通信アーキテクチャにおけるSingle router modelおよびデータアーキテクチャにおける車両データ辞書の実現可能性 を検証した。3つめの実証実験であるIPCarプロジェクトでは、車両データ辞書の 可用性と社会的受容性を検証した。最後の実証実験であるInternetITSプロジェ クトでは通信アーキテクチャおよびデータアーキテクチャ全般について可用性と 社会的受容性を検証し、良好な結果を得た。

以上の研究活動により、移動体インターネットと自動車の協調システムの社会的 認知を得ると同時にその分野の開拓に寄与することができた。

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。 植原 啓介 (kei@wide.ad.jp)


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