慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2013年度
氏名 工藤 紀篤 (KUDO, Noriatsu)
論文題目 タイトル:サイバー空間と実空間を統合した実時間イベントアーキテクチャの構築
論文要旨

インターネットの広帯域化や実空間情報のサイバー空間での共有により,参加者が複数実空間に分散する実時間イベントが可能となり多くの試みがおこなわれている.しかしその多くは,特定の要素技術を前提としていたり,環境を構築したオペレータ個人の経験に依存しているなど,持続性,安定性,再現性,拡張性に課題がある.また,サイバー空間での参加は,実空間での参加と比較して情報量が少なく,参加者間のコミュニケーションへの制約が多い.本研究では,これらの課題を解決し実時間イベントを体系的に整理する.

本研究では,実時間イベントが進行する実空間とインターネット上で展開するサイバー空間を統合するためのアーキテクチャ「CPARSE(Cyber Physical system Architecture for Real-time and Scalable Event)」を提案した.CPARSEでは,参加者間コミュニケーションと,実時間イベントのオペレーションを定義する.参加者の空間としてローカルスペース,プライマリスペース,リエゾンスペース,オートノマススペースの4つのスペースを定義し,参加者間のコミュニケーションと,実時間イベントのオペレーションを定義するオペレーションメタスペースを制御のためのスペースとして定義した.また,広義に定義されていた多様なメディアを「メディアエレメント」の集合として再定義することで,単一または複数のメディアエレメントを用いて実時間イベントに参加する参加者の,参加形態に応じたコミュニケーションメディアの実態を示すメディアを記述可能とした.

本研究では,CPARSEを適用した多くの実証実験において,インクリメンタルな開発とその評価をおこない正当性を実証した.クラシックコンサートの大規模共有や東日本大震災時の卒業式への遠隔参加では,複数メディアエレメントによる情報伝達により多様な参加形態へ対応し,ソーシャルメディアの一部を取り込んだメディアエレメントによるリエゾンスペースでは,多様なセマンティクスグループの参加者による実空間とは異なる新たなコミュニケーションを生み出した.これは,スマートテレビ等の次世代メディアの礎を実証する成果である.災害時の学校行事への遠隔参加は,情報社会時代の災害時における実時間イベントとして安全・安心社会への強力な提言となった.

本研究で提案したアーキテクチャによって可能となった実時間イベントの体系的な整理により,過去に実践されてきた実時間イベントの評価と課題の抽象化が可能となった.また,提案したアーキテクチャを応用して遠隔授業における様々な課題解決を継続しておこなっており,遠隔授業環境を基盤とする持続的で安定した大学間連携による教育プログラムの実現に貢献した.

キーワード:

  1. 遠隔コミュニケーション
  2. サイバーフィジカルシステム
  3. ソーシャルメディア
  4. 実時間イベント
連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
KUDO, Noriatsu ( kudo at sfc.wide.ad.jp )


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