慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2008年度
氏名 杉本 信太(Shinta Sugimoto)
論文題目 A Dynamically Configurable and Manageable Mobile Architecture
動的設定および管理が可能なモバイルアーキテクチャに関する研究
論文要旨

本論文では,次世代移動通信網の新たなアーキテクチャを提案する.携帯電話を主とする移動通信システムは,「オールIP化」に向けて進化を続けている.本論文が対象とする移動通信網は,クライアント主導型及びネットワーク主導型のIP移動管理技術の利用を想定する.移動端末は,信頼度の異なる様々なアクセス網に接続するものとする.このような移動通信網では,新たな技術的課題が発生する.第一に,移動管理やセキュリティ保証を行うプロトコル間で相互連携が必要となるが,これを実現する既存技術は無い.第二に,移動端末は性質の異なるアクセス網間を移動する際に経路最適化の継続が不可能である.第三に,アプリケーションの要求やネットワーク環境に応じたIPサブレイヤプロトコルの適用,そしてIP層内部の協調・統合管理が必要となるが,従来のIPスタックはこうした機能を持たない.

 本論文では上記の問題を解決する新たな移動通信網のアーキテクチャを提案する. 第一に,Mobile IP?IPsec間のインタフェースを定義する。これにより,Mobile IPが移動端末のIPアドレスの変化をIPsec/IKEに通知することが可能となる.提案手法のプロトタイプをLinux上で実装し,その実現性を確認する.また,定量的評価により移動端末?移動管理サーバ間の信号量を大きく減少させることを確認する.第二に,ネットワーク主導型の経路最適化手法を提案する.提案手法では,移動管理サーバが移動端末に代わり経路最適化コンテキストを管理する.これにより,移動端末が異なるIP移動管理技術に基づくアクセス網間を移動する際に経路最適化の継続を可能にする.第三に,IP層内部に統合管理エンティティ(IP Broker)を提案し, これが複数のIPサブレイヤプロトコルを統合的に管理し,IPフローに適用すべきIP処理手順の組み合わせと順番を決定する.これにより,移動端末のIPスタックは接続先アクセス網の性質に応じて動的かつ柔軟にIPサブレイヤプロトコルを設定することが可能となる.

 提案アーキテクチャは,これらの新機能により移動端末が性質の異なるアクセス網をシームレスに移動することを可能とする.これにより,多種多様なアクセス網を収容可能な,頑強で規模性の高い移動体通信システムの構築が可能となる.

キーワード:移動体通信,オールIP,IP移動管理,Mobile IP,Proxy Mobile IP

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
杉本 信太 (hinta [at] sfc.wide.ad.jp)


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