慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2009年度
氏名 石原 知洋 (ISHIHARA, Tomohiro)
論文題目 グローバルかつスケーラブルな識別子管理システムに関する研究
論文要旨

情報社会は,多種多様な情報が物や人などの実社会のオブジェクトに結びつけられ, それらがローカルに定義される識別子で相互に利用される情報システムによって成立する.

本研究ではそのようなシステムが次世代に向けて自律的な発展することを前提に, その際に課題となるグローバルな空間での情報へのアクセスと.スケーラブルな成長を 可能とする新しい識別子システムの共通基盤を提案,実現し,実装に基づいた評価を行った.

情報システムは,さまざまな物に対して構成される情報を要素として構築される. その要素への参照は,一意に定まる識別子を用いて行われる.それら識別子および識別子を利用するシステムは,それぞれ独立したローカルな系で稼動しており,データベースは多様である.このようなシステムがグローバルな情報社会に展開するためには,これらが有機的に結びつき,強固な相互参照の基盤と結びつくことが必要となる.

本研究では,それら閉じた系で動作する多種多様なデータベースが,共通の基盤の上に構築され,共通のアクセス手法により利用することを可能にする情報基盤を構築する. 無数に発展する独立した情報システムおよびデータベースを共通の基盤に載せるための 第一の課題はグローバルに展開できる規模性である.その一方で,識別子を用いた情報へのアクセスが階層的な構造であり,グローバルな規模性を実現しているインターネット上の基幹システムはDNS(ドメインネームシステム)である.本研究では,DNSが独立した情報システムのグローバルな展開と連携できるための手法として,汎用データベースシステムとDNSの連結機構を設計し,DNSとデータベースシステムによる情報システムのモデルを実現した.

さらに,ローカルに定義される情報システムがインターネットを用いたグローバルに展開する際に最も大きな課題となる情報へのアクセスにおけるセキュリティの問題を,TSIG技術の応用としたアクセス制御を実現し,解決した. 本研究により,今後さらなる増加が予想される多種多数の識別子,およびそれらを利用した自律的に発展する情報システムをグローバルに展開する共通の基盤で安全に利用することが可能になり,個々の識別子および識別子システムを相互利用するさらに大規模なシステムを構築することが可能となった.

そのため.本システムを基盤として,RFIDに代表される新たな識別子システム(IDシステム)に基づいた情報システムの創造的な発展の基盤が実現した.

キーワード:

  1. 識別子
  2. 分散データベース
  3. セキュリティ
  4. ドメインネームシステム
  5. DNS
連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
石原 知洋 ( sho at sfc.wide.ad.jp )


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