セッション5:
ディジタル・メディア・テクノロジのフロンティア

コーディネータ: 村井 純 (慶應義塾大学)

村井:
私が学生の頃,標準化作業は研究として非常に重要だと考えられていた. しかし,インターネットが旧来の標準化の手順を変えつつある. 優れた製品や技術が急速に広まり,事実上の標準になる.

今回,ゲストに技術分野の専門家とパイオニアを招いている.


千代倉 弘明 (慶應義塾大学)

3次元グラフィクス・インタラクティブ・テクストブック

3次元グラフィクスは将来のインターネットアプリケーションの中で 重要な役割を果たすだろう.特に教育目的の応用に適している.

人体ウォークスルーのビデオデモ.高校生向けの人体教育のための教科書 として利用する.デモでは,まず人体各部の2次元イラストがネットスケープ 上に表示された.学生が絵を選択すると,3次元の物体が別のブラウザにポップ アップ表示される.視点を変更したり,ライブでのシミュレーションを実行で きる.


デイブ・ファーバー (ペンシルバニア大学)

米国のホームコンピューティングにおける高速通信の現状

ISDN は米国では事実上失敗している. 高コストと電話会社の販売促進の努力不足のためである.

xDSL は既存の銅線上で対称,非対称の高速データ通信チャネ ルを実現する.非対称 xDSL は同報型のデータ通信に適している. xDSL では 6Mbps の伝送レートを実現可能で,高品位 TV 品質のデータ伝送に十分な性能である.

衛星を利用した2種類のサービスが今年の末までに利用可能になる 予定である.米国には2基のDirect Broadcast Satellite (DBS)があり, マイクロソフトとエコスターによって我々のマルチキャストに対する考え方が 変化するかも知れない.

混乱を避けるために,常に可用性のあるコンピューティングが必要である. 不便さは解消するだろう.少々の不便さも莫大なコストとなりうる.


アンディ・ホッパー (ケンブリッジ大学)

世界中あなたの後を追いかけるパーソナライズされたグローバルな通信サー ビスをどのように感じるだろうか.

ネットワークは大多数の利用者にとっては,ほぼ利用不可能である.学習 困難で,潜在的な利用者の大多数にとっては複雑で使いづらい.我々は絶望的 な状況にあるが,これを改善するためにはどうすれば良いだろうか.

我々の回答は,集中化と持続可能な進歩である.

いつでもリセット可能な単純かつステートレスな端末を利用する. 情報はサーバ上に蓄積され,世界中のどこからでもダウンロード可能である.


テッド・ネルソン (慶應義塾大学)

現在のコンピュータアプリケーションは情報の捉え方を完全に誤っている. 技術者達は誤った情報構造の捉え方に基づいてアプリケーションを開発してい る.文章は,情報の真の複雑さを非常に単純化した表現である.

人々はWWWは混沌としていると言うが,それは情報の本質を理解していない. 情報というものは混沌としていて,人々はそれを理解していないからである. 情報が持つ数多くの依存関係を維持するような表現にしなければならない.