表示が乱れる場合はウインドウをリサイズしてご覧下さいませ 


10/23/2002

ライプツィヒからFrankfurt 空港駅/中央駅/Saarbrueken/Metz/と乗り継いで
21日深夜Nancy に辿り着き 更に今日パリに戻って来ました

#この都市はいつ来ても 帰ってきたという感じを抱かせるのだけれど
#それについてはまたいづれ


ドイツ側国境のSaarbrueken は交通の要衝らしく かなり大きな街です がなんの情報もありません

夕暮れ時の無個性な駅前広場に出て 家路に急ぐ人々を眺めていると
丸眼鏡をかけた人のよさそうなしかしなんつーかフォレスト・ガンプな青年が煙草をくれまいかと

なぜかこういう人には好かれるオレ... そういえばユトレクトでも... 類友と言いたくば言え...

いいよ と言うと彼は コントロール不能の しかし満面の笑みでぽてぽてと近づいてきた
手には 閉じ切らないと思われる折畳み傘を握りしめてる


僕らは並んで煙草を吸う

彼は日本に行ったことがある と言い
こんにしわ!/ありがと!/トウキョ!/はい! と大変嬉しそうに日本語を披露する

しかしそれはオイラの独逸語と全く同程度で それ以上の会話には発展しようもなくて
別れを言うと彼は何処かを真剣に見つめたまま ビーダーゼン!と
ん またな


12番線のさらに離れ小島状態の11番ホームから(????? 大トランクを引きずり 歩いた歩いた)
たぶんSNCF で最もぼろいであろう小汚い列車がごとごとと動き出します (駅を出ればすぐフランス領だ)
両国の関係を露骨に表してますな...(知らんけど まあそうなんだろう)


Nancy はアール・ヌーボー発祥の地だそうで 今回の御目当てはその名もナンシー派美術館
小雨に濡れた門をくぐると 運良く御本尊エミール・ガレの特集をやってました

オイラ美術についての知識は皆無なので 良く分からんのですが
アール・ヌーボーというのは 相当なキワモノですな... 変です ヘンテコリンです 悪趣味です

いや キライじゃないんだけど

Nancy の中心 スタニスラス広場はヨーロッパ的伝統の粋 といった感じの絢爛さで
それを踏まえてナンシー派美術館を訪れると そのヘンテコな派手さ加減が良く分かる気がするのだな
パリのメトロを見てるだけでは分からなかった... 違和感... みたいなものが

まるっきり文脈を無視したパクリ/引用/サンプリング 何でも良いんだけど
それは 昆虫や植物といった自然界のフォルム/バロック/ロココ/イスラム/文人画/浮世絵...
意欲的というか 節操がないというか 貪欲というかなんというか

んで どうもこの手法は 
変態職人エミール・ガレが 一人でがしがしと完成させちゃったっぽいんだな...
晩年には得意のガラス工芸で我らが「焼き物」を作ろうとしていた風な作品もあったりして
色は どピンクなんだけどさ

繊細で真面目そうな青年(あ ガレさんのことね)が どういう経緯でこーんなことになっちゃったのかね?
しかし 美しい 面白いと感じたものは躊躇なく取り込もうと試みるその態度は オイラも見習うべきかもな

なんて 殊勝に思ってみたりもする今日この頃




変なキノコを食ったような心持ちで美術館を出ると青空が高くて
パリに向う列車に揺られ 傾いてゆく眩しい太陽を眺めてたら


なぜかザールブリュッケンの若者の笑顔を思い出した

あいつは雨に濡れてはいないだろうか


<ー15  Return to WYSIWYG Index  17ー>