政策メディア研究科2年 西田視磨
west@sfc.keio.ac.jp
研究の主題
従来のインターネットでは、使用される通信路は有線のものが一般的である。インターネットに於ける通信技術は、有線通信を基本にして開発されたものであり、衛星通信路をはじめとする無線通信媒体とは親和性が低い。
衛星通信は無線通信媒体であり、従来の有線通信媒体にはない特徴、また他の無線通信媒体とも異なる特徴を多く持っている。これらの特徴を生かし、インターネットに於ける通信路として衛星通信を有効に使用する通信技術について研究を行う。
衛星通信路を片方向のみのデータ伝送路として使用する際の問題を、アドレス変換機構を用いることで解決した。
詳細は、以下の論文として執筆した。
単一方向衛星回線を含むネットワークの為のアドレス変換機構を用いたネットワークアーキテクチャ
片方向通信路をインターネット上の通信路として使用する際には、トンネリングという技術を使用する。現状では、このトンネリング技術を利用する手法は大規模性に欠ける。本研究では、トンネリングを用いて片方向衛星回線を使用する手法が大規模性を持つように、動的にトンネルを含む仮想リンクを制御する機構を開発した。
詳細は、以下の論文として執筆した。
片方向通信路を含むネットワークアーキテクチャにおける動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
インターネット上の通信プロトコルの新しいものとして、IP version6 が提案されている。これは、従来のIP version4 に、より大規模性を持たせ、性能を向上させたものである。IP version6 は、将来インターネットの標準的な通信プロトコルとなることが予想される。
既存の衛星通信路では、IP version6 を使用した通信を行う実験がなされたことがなかった。本研究では、現在の衛星通信路に用いているハードウェアを使用し、衛星通信路上でIP version6による通信実験を行った。本実験により、衛星通信路上でIP version6 による通信が可能であることが確認された。
本実験は、奈良先端科学技術大学院大学の協力のもとに行った。