慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2019年度
氏名 木村 修平 (KIMURA, Shuhei)
論文題目 Computer-Integrated Language Learning - 大学英語教育の新しい地平 -
論文要旨

本論文の目的は、慶應義塾大学湘南藤沢大学(SFC)で生まれ、立命館大学に継承され発展したプロジェクト型の大学英語プログラムの実践事例にもとづき、プロジェクト型学習における ICT(Information and Communication Technology)と授業タスクとの結びつきからモデル化し、その成立要件を一般化することにある。

本研究の意義は、ICT を組み込んだ英語教育を従来の Computer-Assisted Language Learning(CALL)の枠組みを超えた Computer-Integrated Language Learning(CILL)というパラダイムとして定義し、授業タスクと ICT 活動を 4 つの類型と 3 つの成立要件から一般化したことである。CILL は知識基盤社会にふさわしい英語教育の有力な形態であり、今後、同種のプログラムの導入が教育機関で検討される際、本研究は理論と実践の両面で有用性の高いガイドラインとして機能し得ることも本研究の意義と言える。

本論文は 6 つの章から構成される。第 1 章は、知識基盤社会を見据えた教育観の世界 的なパラダイムの変化を踏まえ、アクティブ・ラーニング型の語学教育と知的生産手段としての ICT 活用の重要性を示した。第 2 章は、先行研究として CALL の発展史を概観した。Bax の normalisation の概念に着目し、学習者と教師の双方が ICT を統合的に活用する教授法を CILL として定義した。第 3 章は、SFC で実践された英語プログラムを CILL 型英語教育の萌芽と捉え、その特徴と成立の背景を明らかにした。第 4 章は、 SFC 英語から発展した立命館大学のプロジェクト発信型英語プログラム(PEP)の授業内容を精査することで授業タスクに結びつく ICT 活動を、リサーチ、オーサリング、コラボレーション、アウトプットの 4 類型にモデル化した。さらに PEP の教育効果を 3 つの指標から確認し、CILL 型大学英語教育の有効性を示した。第 5 章では、CILL が成立する要件を、遍在性、合目的性、変態性という 3 つの要素に整理し、一般化した。第 6章ではこれまでの議論をまとめるとともに、CILL が拓く大学英語教育の新たな可能性と課題点について考察した。

キーワード:
1. 大学英語教育 2. プロジェクト発信型英語プログラム 3. 教育情報化 4. CALL 5. Computer-Integrated Language Learning

連絡先 本文が必要な場合はKOSMOSより閲覧してください。


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