1990年2月19、20日  第1回入学試験

 初年度に私たち移籍スタッフが何よりも心配したのは、どれだけ多くのすばらしい学生が湘南藤沢キャンパスに応募してくれるだろうか、ということであった。いわゆる偏差値の高い生徒たちに来てほしい、という意味ではない。慶應義塾大学という大きな世界の中で、私たちの教育理念に賛同し、そこで伝統と実績がある日吉・三田キャンパスとは何か違うことをやってみたい、そんな若者にひとりでも多く集まってほしいと思っただけのことである。

 幸い入学希望者も多く、キャンパス開設後にたしかめられたことだが、新しいキャンパスに自分の青春をかけてみたい、というすばらしい若者が数多く集まってくれた。私たちのただひとつの失敗は、「合格者の多くが他学部や他大学に行ってしまうだろう」という見込み違いであった。予想をはるかに越えた数の合格者たちが、そのままSFCを選択したのである。

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