1990年4月21〜23日  フレッシュマンキャンプ

 通常アドグル,アドバイザーグループというが、正しくはアドバイザリーグループである。英国のチューター制度に近い、SFC独自の制度である。担任制度はどこにでもあり、日吉の場合、必修課目の外国語や数学の担当者がそれを担当した。1年D組を担当すると、それが「担任のクラス」となる。商学部時代の私の例だと週に2回授業があったので、機能的には便利なシステムである。授業が終わると相談にくる学生がいて、研究室でいろいろな話をすることも日常だった。

 小人数の研究会もあり、日吉・三田の数多くの教員が担当した。

 SFCがそのシステムを継承しなかったのは、いずれもが担当教員の専門分野や授業そのものと直結しすぎているからである。私たちが考えたアドヴァイザリーグループというのは、人生や学問の方向について先人に意見を求めたいと思う新入生と教員、先輩がいっしょになって同じ目線で話し合うグループであった。従って、私たち教員が伝えるべきものは、「学問そのものの楽しさ」だけであって、自分のやっている学問のおもしろさではない、こんな趣旨もあった。

 学生数の少ない大学や学部では、ホテルを借りきってフレッシュマンキャンプを行うところもあると聞いていたが、慶應大学ではそれはむずかしい。初年度は大学側が用意したいくつかの施設に、複数のグループがいっしょに宿泊するという形をとったが、今思い返すと、それなりの楽しさがあったようである。私のグループは、同僚の小林先生(現名誉教授)、平高さんとともに丹沢の山に登ってバーベキューをした。炭などおこしたことがない子供たちが、ライターの火を直接炭にあてて格闘しているさまをあきれて見守り、続いて小林先生の炭おこし技術指導があったりと、楽しい一晩だった。 

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