AO入試

 AO入学者の存在は初年度の学生間の最大の議論の的であった。

 「新設大学」ならともかくとして、伝統ある慶應義塾の入学制度の重要な改革である。

 当時早稲田の所沢キャンパスがスポーツ推薦という枠を目一杯に使っていたため、たとえば一期生の西田君のように、横浜緑ヶ丘高校のエースピッチャー、球速145キロというスポーツマンでありながら、成績抜群というすばらしい若者たちが、これといっしょにされてずいぶん誤解を受けた。最近では三期生の高木大成君が西武で活躍しているが、卒業後の二人の進んだ道は異なるものの、二人が共通して語ってくれたのは、「野球に専念すればもっとすばらしい成果を残せたかもしれませんが、ぼくはSFCのきびしい授業を乗り越えたことを誇りに思います」というものだった。

▼NEXT