「ああ、われら最高学生集団」

 一期生が在学中に結成した、今となっては幻のサークルである。イベント企画でも、サークルでも、要するにSFCの学生企画の中心になって活動するメンバーが集まり、ただ飲んで情報交換やらコミュニケーションを行うというだけの、何の生産性もない組織で、顧問はいつのまにか私にされていた。一期生の卒業とともに消滅したと聞く。「ああ…」とつけたのは、「あいうえお」順であろうと、ABC順であろうと、必ずサークルリストの先頭に来るからだそうである。

 「生産性がない」と記したが、要するに、やるのは飲み会だけである。集団を指導する立場の学生たちのせいか、やたらに体と声の大きい連中が多かあった。湘南台駅前の陣八の奥に俗にいうVIPルームがある。名前だけはかっこうがいいが、防音装置がしてあり、うるさい学生集団はここに収容するという隔離施設である。店に交渉して、運搬から方付けまですべて自分たちがやるという条件で、2000円で飲み放題にしてもらっていたというからめちゃくちゃな話しでもある。当時「一気飲み」が問題になりつつあり、アドグルや研究会ではきびしく指導していたが、この連中だけは私をもってしても押さえることはできなかった。というか、私もいっしょになってやってしまった…

 と書くと、まるで無法集団のように聞こえるが、皆に共通していたのは、SFCをこれまでの大学とは全く違ったものにしたいという気持ちであった。それだけ彼らは新キャンパスの立ち上げに燃え、後輩を育てて巣立っていった。

 ここに集った若者たちがSFCに残していったものははかりしれない。彼らとは今でもいろいろな場で会うことがあるが、皆立派なSFCのOBとして社会で活躍している。 

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