Mobile IPv6無しのマルチホームの実験

2003年7月31日
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目的

最近、インターネットの普及によって二つやそれ以上のISPに接続することが、容易になってきた。それによってマルチホームなプラットフォームを使うことができる場面が増えることが考えられる。マルチホームは「冗長性」、「ポリシールーティングできる」、「ロードシェアリングできる」というメリットのため、注目されている。 わたしは、マルチホームはNetwork Architecture of Continues Mobilityに役にたつと思っている。このテストによって現時点でマルチホームするための問題点が明らかとなる。

環境

KAME20030505をインストールしたNetBSD-1.6.1

ケース1 --2つのdefault router と 1つのnetwork prefix--

Power2とPower3がRAを配っているので、Dyna1は二つのデフォルトルータをもっている。これらのプレフィクスは同じである。それらは"2001:200:0:8411::/64"である。また、Power1とpower2とpower3ではOSPFを動かしている。これらの状況で、Dyna1から、"gr2000.k2c.wide.ad.jp"へとping6コマンドを打ち、インターフェイスrtk0とwm0をダウンさせてKAMEのふるまいをテストした。




テスト

Dyna1に近い方のインターフェイスを落した時
テスト1-1
Power1に近い方のインターフェイスを落した時
テスト1-2



ケース 2 --1つのdefault router と 2つのnetwork prefix--

この実験は二つのルータPower2とPower3をISPに見立てています。 ISPはセキュリティの目的で、出ていくパケットのソースアドレスは自分の配っているアドレスだけを通し、 入ってくるパケットの宛先アドレスがは自分の配っているアドレスだけを通す設定になっている。 そこで、Power2はソースアドレスが2001:200:0:8410::/64の時だけ出ていけるようになっていて、 宛先アドレスが2001:200:0:8410::/64の時だけ、入って来れるようになっています。 また、Power3はソースアドレスが2001:200:0:8411::/64の時だけ出ていけるようになっていて、 宛先アドレスが2001:200:0:8411::/64の時だけ、入って来れるようになっています。
また、Power2,Power3,gr2000間ではripngが動いていて、Power1, Power2, Power3間ではOSPF6が動いていて動的な経路制御がなされています。
Power1は2種類のRAを流していてnetwork prefixは二つある。したがってDyna1はアドレスを二つ持つことになる。これらの状況で、Dyna1から、"gr2000.k2c.wide.ad.jp"へとping6コマンドを打ち、Power1のインターフェイスをダウンさせてKAMEのふるまいをテストした。

Test


テスト2-1



ケース 3 --2つのdefault routerと1つのnetowrk prefix--

Dyna1は二つのグローバルアドレスと二つのデフォルトルータを持っている。Power2は"2001:200:0:8412::/64"のプレフィクスを流していて、Power3は"2001:200:0:8411::/64"のプレフィクスを流している。Dyna1は二つのプレフィクスから生成したグローバルアドレスを持っている。
また、Power1, Power2, Power3ではOSPFが動いている。
これらの状況で、Dyna1から、"gr2000.k2c.wide.ad.jp"へとping6コマンドを打ち、インターフェイスrtk0とwm0をダウンさせてKAMEのふるまいをテストした。


テスト

Dyna1の近い方のインターフェイスを落した時
テスト3-1
Power1に近い方のインターフェイスを落した時
テスト3-2


実世界でのマルチホームの考察

3つのケースに分けて実験してきたが、どのトポロジが移動体通信に向いているのだろうか? また、どのトポロジはどのような場面で効果的なのか?考察してみたい。 想定する移動体は自動車に限定することはないが、今回はセンサーノードなどの集合体と考えられる 自動車を想定している。

ケース1 --2つのdefault router と 1つのnetwork prefix --

想定する環境: 駐車場でプレフィクスが同じ無線LANコネクションを拾った時

考察

このトポロジは用途が限定されるように思われる。なぜなら、同じプレフィクスの 流れる二つのコネクションを持つ場合というのは、それらのコネクションの上流は同じ場合であるので、 「冗長性を得る」、「ポリシールーティング」、「ロードシェアリング」するなどの マルチホームのよい特性をあまり受けることができないからだ。

問題点

実験ではリンクが切れた時の解決策としてOSPFを作動させた。 点線の部分を無線LANでやる時、移動体が増えたとしてもOSPFは動くと思われる。それは、 無線LANは範囲が限定されるので、それほど移動体が増えないと思われるからだ。

ケース 2 --1つのdefault router と 2つのnetwork prefix--

想定する環境: 無線LANとPHSのコネクションを持つ時

考察

このトポロジはマルチホームのよい特性を受けることができる。
「冗長性を得る」高速移動中は不安定な無線LANを当てにせず、PHSで通信する。
「ポリシールーティング」、コントロールパケットはPHSで通信する。
「ロードシェアリング」複数の無線LANのコネクションがある時など、負荷分散をする。

問題点

-----まだやってません---------

ケース 3 --2つのdefault routerと2つのnetwork prefix--

シチュエーション: 無線LANとPHSのコネクションを持つ時

考察

このトポロジはマルチホームのよい特性を受けることができる。
「冗長性を得る」高速移動中は不安定な無線LANを当てにせず、PHSで通信する。
「ポリシールーティング」、コントロールパケットはPHSで通信する。
「ロードシェアリング」複数の無線LANのコネクションがある時など、負荷分散をする。

問題点

実験ではリンクが切れた時の解決策としてOSPFを作動させた。 しかし、この方法はまずいらしい。
IPv6 ISP的な運用 ルーティング編
IPv6インターネットの経路情報数 (IPv6フルルート)


multihomingの分類(with NEMO)

参考(draft-ng-nemo-multihoming-issues-01)
(w, x, y)
w = MR(Mobile Router)が1つか複数か           (0 = 一つ, 1 = 複数)
x = HA(Home Agent)が一つか複数か             (0 = 一つ, 1 = 複数)
y = Mobile networkのプレフィクスが一つか複数か (0 = 一つ, 1 = 複数)
tarzan : MR、HAが一つ。Mobile networkの数はいくつでも構わない(0, 0, *)
JetSet : MR一つ。HA複数。Mobile networkの数はいくつでも構わない。(0, 1, *)
Sinkansen : MRが複数。Mobile Networkの数は一つ。HAはいくつでも構わない。(1, *, 0)
DoubleBed : MR、Mobile networkの数が複数。HAはいくつでもかまわない。(1, *, 1)

HAが一つHAが複数
MRが一つMRが複数MRが一つMRが複数
Mobile networkが一つtarzan Sinkansen
ケース1
Mobile networkが一つJetSet Sinkansen
ケース1
Mobile networkが複数tarzan
ケース2
DoubleBed
ケース3
Mobile networkが複数JetSet
ケース2
DoubleBed
ケース3
他の表





2003年7月31日