慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2009年度
氏名 須子 善彦 ( SUKO, Yoshihiko )
論文題目 師匠ネットワークモデル - 主観的で継続的な情報獲得のための検索モデルの提唱と評価
論文要旨

インターネットの発展により情報発信が容易になった結果,情報の多様性は増大した.それらのいくつかは個々人によって異なる趣味や嗜好によって価値が判断されるものであるため,異なる価値判断の基準を考慮した情報検索が必要だ.本研究は,そのような情報検索を「主観的情報フィルタリング」と定義し,課題を導出する.また,主観的情報フィルタリングに適した検索モデルとして「師匠ネットワークモデル」を提唱する.

師匠ネットワークモデルは,我々が日常,経験則的に用いている情報処理のモデルに基づく.ユーザは周囲の社交関係における過去の蓄積をもとに,参考にする情報取得元の重要度を区別している.本論文では「参考にする情報取得元の重要度」を「社会的距離」という概念で定義した.社会的距離とは,師匠ネットワークモデルの中核をなす概念で,一般的な距離の概念である物理的な近さとは別の論理的な近さである.各ユーザから見て社会的距離の近い情報ほど,各ユーザによって異なる情報判断基準に合致した情報であると見なすことで,個々人によって異なる情報価値の判断基準の情報検索・情報流通への適用を実現する.さらに,従来の手法では困難であった精度の高い情報の順位付けを行い,ユーザにとって最小限のアテンションで効率のよい情報獲得を可能とする.師匠ネットワークモデルは,筆者が長期にわたりユーザのニーズに向き合い,今日のソーシャルネットワーキングサービスの基礎となるモデルを開発・運用してきた知見を応用している.

主観的情報フィルタリングを対象とする情報検索システムは,デファクトスタンダートとなるものはいまだ存在せず,いくつかあるシステムにおいても,一般的なモデル化され広く応用可能なものは少ない.このため,評価手法も確立されていない.本研究では,主観的情報フィルタリングを対象とした様々な応用に活用可能な情報検索モデルの一般化を目指し,師匠ネットワークモデルを提唱し,プロトタイプ実装を行った.また,評価に関する手法の提唱を行い,師匠ネットワークモデルの評価を行った.また,本格的な実現に向けたいくつかの知見と課題を導出した.また,複数の応用に向けた実装を行い,モデルの応用可能性を示唆した.

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
須子 善彦 ( scottie at sfc.wide.ad.jp )


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