慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2003年度
氏名 土本 康生 ( Yasuo Tsuchimoto )
論文題目 インターネットの普及を目的としたネットワーク管理者育成モデルに関する研究
論文要旨 インターネットが我々の生活を支える社会基盤として定着し、様々なサービスが提供されるようになった。このインターネットを機軸とした情報通信基盤は、広帯域化が進み、ユービキタスコンピューティング環境を構築しながら進歩し続けている。一方で、インターネット環境を利用できない地域があり、情報格差が開きつつある。デジタルデバイドは、先端的な情報通信基盤を有する地域に対して、インターネットや他の情報通信基盤の発展に格差が生じてしまうことである。このデジタルデバイドを解消するには、ネットワークを管理・運用する人材が主体となり、先端的な情報通信基盤が継続的に管理・運用される必要がある。 本研究では、デジタルデバイド解決にむけ、情報通信基盤を管理・運用する人材を育成するためのプロセスに着目し、学習者の学習意欲を維持しつつ知識と運用技術、そして経験を蓄積する方法を提案した。本研究の手法は、(1) 利用している通信技術やアプリケーションの先端性の面から地域を分類し、(2)先端地域と遅れている地域を相互に接続し、環境の橋渡しすることで、(3)その通信基盤を利用した共同プロジェクトを実行するものである。この手法を用いることによって、学習者のインセンティブを維持しつつ、先端レベルのネットワーク技術者との共同作業を通じ経験の蓄積が可能となる。このプロセスをモデルとしてまとめ、「ブリッジ・インセンティブ・モデル」として提案した。 また、本モデルに従いSOI ASIAプロジェクトを進め、情報通信基盤構築とその基盤を運用できる人材の育成を試みた。まず、A)人工衛星回線と__ "!$# 技術を用いて情報通信基盤構築をおこない、7ヶ国11 組織で広帯域のインターネット環境を実現した。次に、人材育成プログラムを設計し実行した。人材育成プログラムは、B)基礎知識蓄積を支援する基礎技術共有学習プログラム、C)実践訓練(OJT)を前提とした運用経験蓄積プログラム、D)先端インターネット技術蓄積プログラムから構成され、先端インターネット技術蓄積プログラムで学習した技術を積極的に実運用ネットワークで利用することで継続的な運用経験の蓄積を実現した。その結果、5ヶ国7組織から参加した29名のネットワーク管理者が先端レベルのネットワーク技術者と同等の実力を発揮し、継続的にSOI ASIAプロジェクトの推進業務に活躍しており、本モデルの有用性を示している。なお、このモデルとプログラムは本研究で議論するような特定の地域や技術に依存していないために、一般的なデジタルデバイドを解決するための人材育成に応用できる。
連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
土本 康生 (tsuchy@sfc.wide.ad.jp )


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