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10/07/2002-2

あららら 油断してた...

このホテル 何から何まで懐かしい設備 と思ってたら 電話のモジュラーが旧フランス式なの...
今や何処に行っても日本と同じ電話線で事足りるので アダプターを大トランクにいれたままです

せっかく使えるチャンスだったのに それは遠くオランダの空の下

うーららー です(がんばれロボコンはフランスかぶれだったらしい って知らんか...)

明日は夜行列車だし オランダではネット環境がありませぬ(これについては改めて書くよ)
むむぅ


まあこんなこともある "C'est la vie!" とフランス風に気を取り直し Pauのホテルです
こんなとこまでやって来る酔狂な方もあまりないでしょうから ちょっとレポート致しましょう


Bordeaux からの列車は 古きよきコンパートメントでした

乗り込むと初老のおじさんが一人 なんか言ってますな
ああ 煙草ですか? どぞどぞ僕も吸いますよ って言うと トレビアン!だって
今や こんな田舎(それもフランスだぜ)でも喫煙者は苛められてるんでしょうかね?

#3時間程省きますが#

Pau の駅で明日の寝台車の予約を済ませ 街へ
うわー 断崖を登らにゃならんぞ
と思ったら グレーに塗られた古めかしいケーブルカー発見 30秒で終点です(ん? 無料だ)

そこがピレネーを望む その名もBd. des Pyrenees! ありり? なんか想像と違う...
ジョリーがいない! とかそういうことではなく
オープンテラスのカフェには金持ちそうな老人と なーんか気取りまくったカップル達
停っているのは パリでは絶対に見ない ぴかぴかに磨かれた車ばかりです
ニースかここは? いや もっと何処かに似ている...

それはヴェネツィアでした サン・マルコ広場からの舗道の眺めにそっくりです(あそこに車はいないけどね)
裏通りのごちゃごちゃ具合も まるで干上がったヴェネツィア
ただ 遊歩道の向うは海ではなく 谷間の鉄道駅とその向うに なだらかにピレネーへと続いているはずの森ですがね

「はず」って書いたのはあんまり山が見えんのです
良く晴れてはいるのですが 気温が高いせいか靄って はっきり見えない
まあ アプローチの長い山脈なのでこんなもんなのかなぁ

件のカフェでコーヒーを頼むと デカフェか? だって まさに一昔前のおされな人の感じですな
おまけにパリでも厚い上着を持て余していたワタシ 完全に浮いてます みんな夏服なんだもの...

うーん 今日中にToulouse に行っちゃおうかなー... でもまあ今からでは夜中なのでやめときましょう

汗だくで良さ気なホテルに辿り着き 着替えて夕陽を見に行きます
#因みにこのホテル 廊下の電気が今では珍しい「勝手に消えちゃうタイマー式スイッチ」です(これも知らんか...)#

さて夕陽 これまた時期が悪く 春先なら山脈に沈むのでしょうけど 今は遠く大西洋側に
まあ夕焼けマニアとしては 旅先で見る日没 感じるものがないでもないですがね

うーんうーん ここにはもう来なくて良いかな...
ま 日も落ちたことだし 気を取り直して恒例の晩飯探しでもするかね

どうにも あからさまに観光客相手の店ばかりで食指が動きません
こういうときは地元民に聞くに限る と一旦ホテルへ
ホテルの夜番のあんちゃんの英語は ワタシの仏語(2歳児レベル)以下でお互い苦労しましたが 何とか教えてもらった店へ

ネオンもなし 静かに客が多い 開けてみると誰かに似たおじさんがにっこりと迎えてくれました

よさそうよさそう あ この人スタジオ時代の後輩の古賀に似ている
ここの呼称は「Chez 小賀君」に決定させて頂きました
後刻 古賀君はマダムの入り婿らしい事が何となく伺われ「マスオさん亭」にするか否かで協議中

そんなこんなで 3皿の定食(それぞれ4品程から選べる)を頼むと 食前酒が出てきました

食前酒は熟成したシードル 楊枝に刺したフルーツ添え おぉ美味い
つまんでてね と出してくれたカナッペも なんかのパテのやつと
ホワイトソースを塗って軽くトーストしたもの 簡素ですが これもおいしい

パンは南の地方の かちかち丸パンですが しっかり味がして 期待が持てます


さて!
前菜の新鮮なフォワグラ(皿いっぱい!)を 一緒に出された小さなトーストに載せて

あぁ もう何も言うまいぞ
付け合わせの干したプルーンとの相性も言うことなく 陶然となるワタシ


食前酒が無くなったので 白ワインを頂きます
sec ? (ドライ?)って聞かれて"doux" が思い出せなくて"あーSweet..." って言ったらマダム苦笑い
でもsauternes にも負けない甘さの なかなか美味いのを注いでくれました

こういうときばかりは すぐ真っ赤になっちゃう我が身が恨めしい

メイン! ほんのり塩分が乗った牛フィレの塊をレアにロティ 薄く切り分け3種のソースを
赤ワインとフォンドボー 白胡椒とアニス
も一つ何だか分からない白いソース(アングレーズに似ていたけど とても良い香りがした)
しっかりした赤身の肉質も 火の通り方も完璧です

付け合わせは 塩が利いた香ばしいポテトのパンケーキ(これ好きなんだけど なんて言うんだっけ?)
土地のキノコのソテー ほんのり甘い(?)香りがすると思ったらレモンの皮でした
コンソメで柔らかく炊いた細切れ野菜  ポロ葱 玉葱 蕪 人参 キャベツの芯 すばらしく甘ーい!!!

デザートは林檎 梨 杏子 山桃 木苺... 季節の果物がたっぷり入ったフルーツのグラタン
果実の酸味と ほんのり甘いカスタードソース オーブンから出たての奴を残ったワインで頂きました

コーヒーにはchocolat Noir(カカオ70%以上の物をこう呼ぶ) 完璧です

しめて32ユーロ也! 個人的にどうにも申し訳ないのでチップを弾みました
っても5ユーロだけどね...
前言撤回 この店にはいつかまた来ることでしょう その日まで古賀よ さらばだ

壁にはPau 出身の名君 アンリIV世のレリーフがありました
どうもこの方の紋章は 唇?と太陽 それに牛が二頭ぉー??? だったようです

なんだか分かりませんが 美食で酒飲み(生まれるとすぐ この美味い白ワインを飲まれたそうです)
おまけに「色好み」と呼ばれる このすてきな王様にふさわしい気もします
酔っ払ってきたのでそういうことにしておきます


いい気分でふわふわと歩いていると 道標に"ZARAGOZA" の文字
この道は中世の巡礼者がスペインへと向かった路なんでしょうか


あの遠い山並を越え 聖地 Santiago de Compostela へ


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