欧州の街並みは、それ自体が観光対象となり得る。
最新の建築技術を持ってしても構築することが出来ない「歴史」というデザインが、近代的な生活風景と融合する様子は、異国に来ているということを強烈に感じさせると共に、何故かある種のノスタルジィも喚起させる。遊園地にあるメリーゴーランドのような感覚に近い。
学生時代には、ほとんど風景や景色というものに目を向けることが無かった。そもそも旅行自体の魅力をあまり感じていなかったと言っても良い。何も遠くに行かなくてもほとんどのものが手に入るし、風景や建築物に関する知識は遠隔地でも十分に鮮明に取得出来た。写真の被写体としての風景には興味があったが、「ただ見て歩く」というモチベーションはあまり高くなかった。
最近は、こうした何気ない風景や自然、建造物を「鑑賞」するようになっている。
心が広くなったのか、エッジが削れてしまったのか、おそらくその両方であろう。
この時期の欧州は日が長い。会議が終わってホテルに帰ってきてからでも、テラスに出ると空の蒼さを堪能することが出来る。空の先にはモンブラン等の山々がそびえ立つ。
少し肌寒い気候だが、空の蒼さはそれを補って余りある。
"Sun and Shadow"
CONTAX U4R
Geneva, Swiss