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森博嗣について

昨日、出張の関係で名古屋大学に行った。そう、かの有名な"N大"のモデルとなった「聖地」である。

そろそろ、森博嗣について語ってみよう。

彼に出会ったのは大学1年生の春。彼がデビューしてすぐの時だ。当時、大学に入って電子メールが使えるようになって直に、ファンレター(という程のものでも無いが)を出した。相手は、小学生の時から読んでいたミステリィ作家の太田忠司。ちなみに、太田さんは名古屋在住の小説家だ。
たしか「小学生の時から読んでます。これからも体に気をつけて頑張って下さい。」というような旨のメールを書いたような気がする。数日後、太田さんから律儀にも丁寧な返信を頂いた。その中に、「名古屋出身のミステリー作家仲間が出来ました。森博嗣という方で「すべてがFになる」という作品でデビューしています。面白いので、もし良かったら読んでください。」というような文章が添えられていた。

早速、書店に買いに行き、読んだ。わき目も振らずに読んだ。
面白かった。確かに、面白かった。これまで読んできた国内ミステリィの中ではずば抜けて面白かった。

キャラクタの個性が際立っており、それが好みであったこと。会話の雰囲気が好みであったこと。そして何よりミステリィとしてのストラクチャが好みであった。

刊行ペースも際立って早かった。そして、これから出版予定のシリーズのタイトルがずらっと並んでいた。そう、森博嗣はデビューした時点で、既にシリーズ作家だったのである。メフィスト賞も、森博嗣のデビューに際して作られたというのだから凄い。

講演会にも行った。初めての講演会は名古屋大学の学園祭の時に開催された。頂いた名刺は名古屋大学助教授のものだった(後の講演会では講談社が作ったものであった)。

色々な作品、作風で書かれているが、テイストは共通。稀有な才能を持っていると思う。森博嗣の「才能は眠らない」という言葉は印象的。

一番印象的なのは、やはり最初に出会ったこの台詞。「すべてがFになる」の表紙に書かれている本文からの引用である。

「先生、現実って何ですか?」
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ人間の思考に現れる幻想だ。普段はそんなものは存在しない。」
(森博嗣、「すべてがFになる」)

うちにある「すべてがFになる」の引用文には誤植がある。「言った」か「答えた」かの差。

沢山の人に森博嗣を勧めた。理由は簡単。この面白いミステリィについて話が出来る、仲間が欲しかったからである。今では沢山の人と作品についてディスカッション出来る。これ以上の幸せは無い。

コメント (4)

はるを:

私が一番好きなのはどうしても有限と微小のパンです。真賀田博士が砂浜を一緒に歩くためだけにVRを造っちゃったって言うところが。もちろんせりふは「神様、わかりませんでした」です。
ただ女の子同士で話していて一番盛り上がるのは「もえちゃんが先生から結婚届を巻き上げた方法は許してよいか」、です。意見が一致するのは、出産直後にダンナが模型の自慢にきたら離婚を検討するだろう、ということ。
でも、勉強する上で先生の言葉は本当に参考になります。一度N大構内で遭遇したいと思っていたら留学なさっちゃいましたので・・・残念。

saikawa:

有限の微小とパンの海岸のシーンはシリーズ屈指の美しい場面ですよね。犀川先生と真賀田博士の会話には独特の緊張感があって好きです。

例の「血の病気」事件で議論が盛り上がる様子は想像できます(笑)。学部生時代に例のシーンに差し掛かったときに、これは一大事だと思って大学から家に帰って続きを一気に読んだことを思い出します。したがって、受けた衝撃は犀川先生並でしたよ。

はるを:

あ、うれしいです。あの夜明けは、ものすごい喪失感ですよね。ちなみに四季でのもえちゃんの夢での真賀田博士も、ものすごいインパクトでした。女性であれ言われて恐れない人はいないかと。

よかった、ここにも振り回された読者が(苦笑)。お許しになります?ちなみに友人たちの意見は半々です。法学の徒、容赦ありません。

saikawa:

僕の中ではS&Mシリーズは恋愛小説でもあります(笑)。

犀川先生と萌絵のやりとりに一喜一憂です。
「四季」でのイタリアの下りはかなりスリリングですね。色々な意味で。

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2005年07月12日 01:04に投稿されたエントリーのページです。

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