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LONDON - RIVIER:telephone box

「明日は、昼前にホテルに迎えにいくよ」とキムは言った。
「よし、何かいいものを食おう。奢るよ」
「チップスにはヴィネガーを忘れるな。気をつけて」
「君も」
手島はキムと握手をした。キムはボックスに入った。歩き出して、ちらりと振り返ると、仄かな明かりの下で受話器を片手に、キムが照れ臭そうに笑い、おどけたウインクをよこした。
(高村薫、「リヴィエラを撃て」)

tele_box_1.jpg
"March, 1992"
Leica C-LUX1
Swinton St., London/UK
color


手島はほとんど何も考えず、即座に崩れ落ちた男を引きずり上げ、自分の腕で支え、一緒に立ち上がった。どこへ行けばいいのか、何をすればいいのか。ただ夢中で抱きかかえた男と一緒に歩いた。
バーキン。どこへ行こうか。なあ、君の事務所へ帰ろうか・・・・・・。
(高村薫、「リヴィエラを撃て」)

last_view.jpg
"Mary"
Leica C-LUX1
Swinton St., London/UK
other side

コメント (2)

kiyo:

最後の言葉が別れた妻の名前だなんて。
子供も産まれるのに?。
切ないけど、なんだか妙なリアリティがありますねえ。

saikawa:

リヴィエラは圧倒的なリアリティが重厚感を生み出している。電話BOXまであるんだから...
しかし1人でただの電話BOXを嬉々として写真を撮る東洋人は間違いなくリヴィエラ級に謎だった事でしょう。

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2006年10月26日 17:46に投稿されたエントリーのページです。

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