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朝の電線はさみしい。

おかざき真里の「サプリ」の二巻が出た。今最も注目している女性漫画家。優しくて、透明感があって、本当に切ない空気感の描き方が実に素晴らしい。最新刊も期待に違わぬ出来だった。

広告代理店に勤める「藤井ミナミ(28)」が、惰性で付き合っていた彼と別れ、仕事と新たな恋愛、人間関係に不器用ながら向き合っていくというのがストーリラインだが、とにかく、絵の構図と言葉の選び方が絶妙。言葉に、魂が入っている。

"化粧品とか 服とか流行とかおいしいものとか
武器はいっぱい揃ってるのに いっぱいあるのに
たったひとつ 持っていないもの
かわい気"

今回のハイライトは、雨の降った次の日の朝、藤井が一人で帰るシーン。「朝の電線はさみしい。」という藤井のモノローグ。朝の持つ切なさを藤井が感じていることが、ストレートに伝わってくる。ここで電線にフォーカスするところが、おかざき真里の凄いところだと思う。

"失敗した夜 でもそれを乗り越えて 次の約束
あー しまった これだあ 愛が来たあー"

藤井と、藤井が好きな"萩様"との距離は、近づきつつも、重なりはしない。
三巻が待ち遠しい。

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2005年03月30日 00:22に投稿されたエントリーのページです。

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