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男側のものがたり - 「サプリ」

このblogでも度々取り上げている、おかざき真里の「サプリ」の4巻が刊行された。紫を貴重とした美しい装丁。月9のオビは蛇足だが、内容の充実度は他の追随を許さない。

今回は主人公である藤井ミナミと、同期の彼である荻様との間に大きな変化が起こる。藤井の気持ちと荻原の間に差が生まれていくストーリは、藤井のこのようなモノローグで始まる。

"ふっと 見上げた空が きれいだったり して

きれいだねって 言ったときの
きれいだねって 返事を ききたくなって
すごく ききたく なって

会いたく
なる"

この後に続くストーリを感じさせる切ない空気感。そして全巻から登場している演出家の高田(コーエツ)と写真家の佐原にまつわるエピソードも深みを増していく。特にコーエツと柚木の関係については胸を打つ言葉の宝庫。

"このふたりは お互いをわかりすぎてて
想いすぎてて 大事にしすぎてて

ふたりの将来の選択が 健やかなものでありますように"

それに柚木がコーエツを思う気持ちは深く響く。

"-奥さんのこと どれくらい愛していた?
あたしはあんたといると 卑小な女になるよ"

そして、男側のものがたりは、彼女たちの感覚とズレていることを主張する。さすが、おかざき真里。人生の機微ってものが感じられる作品。

"たくさん持ってるじゃない 仕事も オシャレも

趣味も 美味しいお店も知ってるし
株から 遊びも 経験も

なのに 恋愛だけが 私たちを 傷つける
くやしくない?

もうそれだけで おなかいっぱいに なる歳でもないのに"

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2006年07月10日 17:26に投稿されたエントリーのページです。

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