このblogでも度々取り上げている、おかざき真里の「サプリ」の4巻が刊行された。紫を貴重とした美しい装丁。月9のオビは蛇足だが、内容の充実度は他の追随を許さない。
今回は主人公である藤井ミナミと、同期の彼である荻様との間に大きな変化が起こる。藤井の気持ちと荻原の間に差が生まれていくストーリは、藤井のこのようなモノローグで始まる。
"ふっと 見上げた空が きれいだったり して
きれいだねって 言ったときの
きれいだねって 返事を ききたくなって
すごく ききたく なって
会いたく
なる"
この後に続くストーリを感じさせる切ない空気感。そして全巻から登場している演出家の高田(コーエツ)と写真家の佐原にまつわるエピソードも深みを増していく。特にコーエツと柚木の関係については胸を打つ言葉の宝庫。
"このふたりは お互いをわかりすぎてて
想いすぎてて 大事にしすぎてて
ふたりの将来の選択が 健やかなものでありますように"
それに柚木がコーエツを思う気持ちは深く響く。
"-奥さんのこと どれくらい愛していた?
あたしはあんたといると 卑小な女になるよ"
そして、男側のものがたりは、彼女たちの感覚とズレていることを主張する。さすが、おかざき真里。人生の機微ってものが感じられる作品。
"たくさん持ってるじゃない 仕事も オシャレも
趣味も 美味しいお店も知ってるし
株から 遊びも 経験も
なのに 恋愛だけが 私たちを 傷つける
くやしくない?
もうそれだけで おなかいっぱいに なる歳でもないのに"