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ハチミツとクローバー

基本的には流行りもの(正確には、既に流行っているもの)には比較的手を出さないのだけれど、売れるものにはそれなりに理由があるわけで、ちょっと前から気になっていた漫画「のだめカンタービレ」と「ハチミツとクローバー」を読んだ。平行して読むというちょっと器用なことをしていたが、「ハチクロ」の方が既刊の巻数が少なかったので先にキャッチアップ。

面白い、というか、ちょっとハマる。基本的には、大学を卒業するかしないかくらいの美大生と美大卒業生による恋愛物語。わりとオーソドックスな作風だとは思うが、シンプルな絵と、セリフ(言葉選び)でさわやかな、淡い、それでいて時として残酷なほどの切なさが印象が残る。読後感で勝負する作品なのかもしれない。そうだとすると、ちょっと新しい。

後、突然入るとんでもない暴走(主に森田先輩が引き起こす)が、笑いを呼ぶ。森田先輩は”うすた京介”の漫画に出てきてもおかしくない。

基本的に皆が一方通行の気持ち(あるいは自分の気持ちに気づかない)を持って、不器用な恋愛をしている。そういう普遍的なシュチュエーションに弱いのかもしれない。

一番お気に入りのアングルは「真山」-「山田」-「野宮」。鉄人山田がお気に入り。

印象的なシーンとセリフを幾つか。

「ほんの少しでも 少しだけでも
 あなたの心が 私にかたむいて くれないかって
 
 どうして私は 夢を見てしまうんだろう
 くりかえし くりかえし
 あきもせず バカのひとつ覚え みたいに」
(羽海野チカ, 「ハチミツとクローバー」)

花火大会で、山田が片思いの真山に浴衣を褒められたシーン。山田の切ない心情が響く。


「何でなんだろう 俺は それまでずっと
 大人になった女は 自分のために唄を 歌ったりなんて
 しないんだろうと  思っていた」
(羽海野チカ, 「ハチミツとクローバー」)

真山の理花さんへの想いも切ない。

森田さんは「ごめん」「ごめん」とくり返し
「今度どこか遠くへ行くときはテレビ電話をおいてゆくよ」と
大マジメな顔で約束してくれた

それから2人で手をつないで家に帰った
自分の事を祈れない私は
かわりに
このあったかい右手の持ち主のしあわせを
浮かぶ月に祈った
(羽海野チカ, 「ハチミツとクローバー」)

山田と森田さん。「テレビ電話をおいてゆくよ」という森田さんに、幸せを祈る山田。

一つ一つのシーンをピックアップすると、べたべたな作品なようにも見えるが、これらがとっても"さらっと"しているのが凄い。色々な意味でシンプルでシャープ。
やはり人気があるのには理由がある。

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2005年06月22日 17:04に投稿されたエントリーのページです。

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